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人間関係に関する泣ける話・感動する話

松屋のおばちゃん

551 :おさかなくわえた名無しさん :2007/02/04(日) 21:19:48 ID:dMDMpdDU
地方で働いてた時の話。
仕事終わってから仲間と松屋で飯を食べる事が多かった。

そこの松屋には必ずいるおばちゃんがいて、いつもニコニコしながら仕事してた。
いつも笑顔だし喋り方とかちょっと変わった人だったから、最初は冗談で仲間とその人に喋りかけてたんだ。
聞けば、明らかに労働基準法違反な時間を働いてた。
忙しい時間に一人で働いてたりもした。
(あとからバイトが遅れて登場。)

そんなおばちゃんを見て、混んでる時は

「俺達はあとまわしで良いから。」

ってよく言ってた。
そして遅れて出てくるぶた飯には漬物とかおまけが必ずついてた。
そんなことが数カ月続いて、俺は仕事を辞めることに。
だからあと一ヶ月で地元に帰る、ということをおばちゃんに話したら、

「辞める前に一回来てね。」

とのこと。
一ヶ月後、地元に帰る前日に約束通り松屋に行った。
忙しそうだったから、いつものように

「後回しで良いから。」

と伝えた。
普段より長い時間待たされてたがあまり気にせず。
ようやく出てきたと思ったら、皿が多い。
多いなんてもんじゃない。
豚皿、各定食の肉、カレー・・・ほとんどのおかずが出てきた。
ご飯も大盛り。

「おばちゃんからのおごりだよ、これから頑張ってね。」

涙ぐみながら全部食べた。
おばちゃんには悪いが、最初はおふざけで話し掛けてて、でも色んな話をして仲良くなって、最後には門出?を祝ってくれて。
出会いってわからないね。
おばちゃん、体に気をつけて頑張って下さい。
ありがとう。
ごちそうさまでした。

イタズラ

俺が小5の頃とても母親想いの新米教師がいて、月一くらいの頻度で郷里の母親と手紙をやりとりしていた。
しょっちゅう俺たちにマザコンとからかわれながらも、とても幸せそうだった。

ある時、俺含む悪ガキ連中数人が職員室に行くと、その教師の机の上にその母親からの手紙があったので、俺たちはほんの軽いイタズラのつもりで手紙を持ってそのままエスケイプした。
そのまま教師をからかって、適当に手紙をリレーしながら校舎を逃げ回っていたが、何回もリレーをするうちに誰かが手紙を無くしてしまった。
大変なことをした、と真っ青になってみんなで教師に謝りにいくと、烈火のごとく怒られたが、最後には苦笑して俺たちを許してくれた。

数日後、その先生が学校を休んだ。
母親が居眠り運転のトラックにはねられ、死んでしまったのだそうだ。

先生は

「もう中身は読んでたから大丈夫だよ。」

と言ってくれたが、未開封だったことは自分たち自身が一番良く知っていた。

「イタズラ」という言葉を聞くと、今でも先生への申し訳なさで死にたくなる。

バスと赤ちゃん

東京にいた今から16年程前の12月も半ば過ぎたころの話です。
私は体調を壊し、週二回、中野坂上の病院に通院していました。

その日は今にも雪が降り出しそうな空で、とても寒い日でした。
昼近くになって、病院の診察を終えバス停からいつものようにバスに乗りました。

バスは座る席はなく、私は前方の乗降口の反対側に立っていました。
社内は暖房が効いていて、外の寒さを忘れるほどでした。

まもなくバスは東京医科大学前に着き、そこでは多分、病院からの帰りでしょう。
どっと多くの人が乗りあっという間に満員になってしまいました。

立ち並ぶ人の熱気と暖房とで、先ほどの心地よさは一度になくなってしまいました。
バスが静かに走り出したとき、後方から赤ちゃんの火のついたような泣き声が聞こえました。

私には見えませんでしたが、ギュウギュウ詰めのバスと人の熱気と暖房とで、小さな赤ちゃんにとっては苦しく、泣く以外方法がなかったのだと思えました。

泣き叫ぶ赤ちゃんを乗せて、バスは新宿に向い走っていました。
バスが次のバス停に着いた時、何人かが降り始めました。

最後の人が降りる時、後方から、

「待ってください。降ります。」

と、若い女の人の声が聞こえました。

その人は立っている人の間をかきわけるように前の方に進んできます。
その時、私は、子どもの泣き声がだんだん近づいて来ることで、泣いた赤ちゃんを抱いているお母さんだな、とわかりました。

そのお母さんが運転手さんの横まで行き、お金を払おうとしますと運転手さんは

「目的地はどこまでですか?」

と聞いています。
その女性は気の毒そうに小さな声で

「新宿駅まで行きたいのですが、子どもが泣くので、ここで降ります。」

と答えました。
すると運転手さんは

「ここから新宿駅まで歩いてゆくのは大変です。目的地まで乗っていってください。」

と、その女性に話しました。
そして急にマイクのスイッチを入れたかと思うと

「皆さん!この若いお母さんは新宿まで行くのですが、赤ちゃんが泣いて、皆さんにご迷惑がかかるので、ここで降りるといっています。子どもは小さい時は泣きます。赤ちゃんは泣くのが仕事です。どうぞ皆さん、少しの時間、赤ちゃんとお母さんを一緒に乗せて行って下さい。」

と、言いました。

私はどうしていいかわからず、多分皆もそうだったと思います。
ほんの数秒かが過ぎた時、一人の拍手につられてバスの乗客全員の拍手が返事となったのです。
若いお母さんは何度も何度も頭を下げていました。

今でもこの光景を思い出しますと、目頭が熱くなり、ジーンときます。
私のとても大切な、心にしみる思い出です。

過労

会社で、私の隣の席の男性が突然死してしまった。
金曜日お酒飲んで、電車で気分悪くなって、途中下車して駅のベンチで座ったまま亡くなってしまった。
死因はスカッシュをやって亡くなった宮様と同じもの。
享年55歳。

でもみんな、分かっていた。
この人仕事のし過ぎで亡くなったんだって。

私はそのとき祖母の納骨で地方にいた。
お通夜は出れなかったが、その日のうちに東京戻って、翌日は休みの予定だったけど、会社行った。
上司に言われて花を買いに行った。

「社員の人が亡くなったので、机に飾るお花にしてください。」

花屋さんで、泣いた。
こんなことは初めてだった。
綺麗だがとても香りの強い花で、今でも私はその香りを嗅ぐと涙が出る。

亡くなった時に持っていたカバンには、家で仕事をするための膨大な資料、会社のPCにはやりかけの仕事が山のように入っていた。
とりあえず私を含めた三人で割ったが、それでも追いつかない。
仕事の中にはとても単純だけど、時間のかかる作業とかいっぱいあった。

何度か言ったことはある。

「やることあったら言ってくださいね。」

と。
その人は穏やかに笑って、

「じゃあ考えておくね。」

と。
いつもこの繰り返し。

膨大なデータを集計しながらまた涙。
なんでもっと強く言って、仕事をぶん取らなかったんだろう。

「私がこうした単純作業だけでも引き受けていたら、この人は死なずに済んだじゃないだろうか。」

と後悔ばかり。

そんな中、その人の家族が荷物を引き取りに来た。
小柄で華奢な奥さんと、真面目そうな女子大生。
一人一人に丁寧に挨拶。

私の番になった。
奥さん、私の名札を見て小さく笑う。

「何度か主人から聞いていました。職場にとても真面目で優秀な女性がいて、いつも仕事ないですか、何でも言ってくださいね、って言ってくれるんだ、って。あなたのことですね。主人はとても感謝していましたよ。」

会社だし、他の部の人もいるし、とかそんなこと関係なく泣き崩れた。
ありがとう。
私のことそんな風に思ってくれてありがとうって思った。

早いものでもう来月は三回忌。

私はそのとき以来、部員の仕事量も観察して、一人の負担にならないように自分に出来る仕事はぶん取ったりすることもある。

この間、亡くなった男性の仕事を引き継いだ男性から言われた。

「もしあなたがいなかったら、俺は仕事に追い詰められて死んでたかもしれない。笑い話じゃなく、本当に。だから、ありがとう。」

その言葉で、やっと救われたと思った。

人種差別

50代とおぼしき妙齢の白人女性が機内で席につくと、彼女は自分の隣が黒人男性であるという事に気がついた。
周囲にもわかる程に激怒した彼女はアテンダントを呼んだ。
アテンダントが

「どうなさいましたか?」

と訊くと

「分からないの?」

とその白人女性は言った

「隣が黒人なのよ。彼の隣になんか座ってられないわ。席を替えて頂戴。」
「お客様。落ち着いていただけますか?」

とアテンダント。

「当便はあいにく満席でございますが、今一度、空席があるかどうか、私調べて参ります。」

そう言って去ったアテンダントは、数分後に戻って来てこう言った。

「お客様、先ほど申し上げましたように、こちらのエコノミークラスは満席でございました。ただ、機長に確認したところ、ファーストクラスには空席があるとのことでございます。」

そして、女性客が何か言おうとする前に、アテンダントは次のように続けた。

「お察しとは存じますが、当社ではエコノミークラスからファーストクラスに席を替えるという事は通常行っておりません。しかしながら、或るお客様が不愉快なお客様の隣に座って道中を過ごさざるをえない、という事は当社にとって恥ずべき事となると判断いたしますので、当然事情は変わって参ります。」

そして黒人男性に向かってアテンダントはこう言った。

「ということで、お客様、もしおさしつかえなければ、お手荷物をまとめていただけませんでしょうか?ファーストクラスのお席へご案内します。」

近くの乗客が、歓声をあげるのを、その白人女性は呆然と眺めるだけであった。
スタンディングオベーションを送る者もいた。

火事の中で

581 :癒されたい名無しさん :05/02/01 18:15:43 ID:5m9CY41l
貫きたい想いがあったとしても人は状況によって簡単に想いを変えてしまう。
だから私は今まで人を信じたことなかった。

幼い頃、たまたま旅行に来てたホテルで火事になった。
煙で前も見えず、聞こえるのは叫びだけ。
長年つれそった妻でさえも置いて逃げる人。
自分の命が大事で子供さえも突き飛ばし先に逃げようとする従業員。
誰一人として自分を優先してるとしか思えなかった。

恐かった。
迫りくる火よりも人の本性が。
そんな想いを隠しながら生きてきた。
誰も信じず一人で生きてきた。

その中で大地震は起こった。
忘れもしない。

次第に大きくなる揺れ、倒れる柱、割れるガラス。
立つことさえもできない、何が起こっているのか考える暇をあたえない。
気が付くと倒れてきた柱によって私は下敷きになってしまっていた。

あぁ、終わりだ。
生きたとしても恐かった。
また人の本性を見てしまうのが・・・。
助けなんて期待しない。
ただ死ぬのを待っていた。
そんな時、声が聞こえた。

「待ってろ!今、助けてやる。」

隣の家の人だった。
見ると右手にヒドイ傷を負っている。

彼は両手で柱を持ち上げた。
信じられない。
その人は大工だ。
そんな事したら傷がヒドクなり右手が使えなくなる。

「手が空いてるヤツ手伝ってくれ!」

彼はそう叫ぶと人が次々に現われた。

皆、傷を負っている。
知らない他人を助けるために自らを犠牲にしてまで、かけつけてくれた。
幼い子供ですら来てくれた。

助けだされた私はお礼を言い謝った。
そうすると彼は告げた。

「ははは!人の手はな、守る為にあるもんだ!ははは!」

涙が出た。
周りを見ても 息子をカバって下敷きになってしまった人。
妊婦にパンを笑顔で渡す食べ盛りの幼い子供。
犬でさえも必死になって助けようとする人々。
火が上がってる家に飛び込み助けようとする人。

身内どころか他人なのに必死だった。
一人も・・・誰一人として自分を優先にしてる人などいなかった。

大人になった私は、消防士になった。
自分のこの手で沢山の人を助けようと思う。

吉原で体験したこと

数年前、漏れが吉原で体験したこと。

入店して待合室に通されると、オバサンが数人の客と話をしていた。
スポーツ新聞を読みつつ聞き耳をたてていると、

「全盲の息子が筆下ろしをしたい。」

と言うので付き添いで来たらしい。
オバサン(以下母)は色々心配事を口にしていたが、話し相手の客数人は

「大丈夫。心配しなくていいよ。」

となだめていた。
暫くたって奥から、白杖持った青年と姫が待合室にやってきた。
革靴はピカピカで、結構いい服をきている。
この日のために揃えてあげたのだろう。

母はソファから飛び出して姫と軽く会釈したあと、

「どうだった?いいこと出来た?」
「うん。よかったよ。このお姉さんのおかげで。」

実は姫を指差すつもりが別の方向だったので、姫が素早く指した方向に移動。
母は顔をくしゃくしゃにして泣きながら

「あんたよかったね~!!」

と背中を何度もさすっていた。
客も拍手したり

「よかったなあ。」

と激励していて、今まで無口だった893風の客まで立ち上がって、青年の肩をポンポン叩きながら

「あんたも一人前の男になったぞ。」

と祝福していた。
姫も感動して泣いていた。
実に素晴らしい光景。

涙腺の弱い漏れは新聞で顔を隠しながら泣いた。

女の子がおしっこを漏らした

573 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(広島県)[] 投稿日:2008/09/12(金) 11:05:14.67 ID:2I8TzFhY0

中学校1年のときのこと。
授業中に隣の席の女の子がおしっこ漏らしていました。
女の子の席は一番後ろのはじだったので他には誰も気がついてない様子。

僕はおもむろに席を立って無言で廊下へ。
先生が後から追いかけてきたけど、無視して手洗い場でバケツに水を汲むと教室に戻り、その女の子にぶっかけました。
教室中大騒ぎになり、学校に両方の親まで呼ばれました。

うちの親は相手の親に平謝り。
なぜそんなことをしたのか問い詰められましたが、僕は結局最後まで口を割りませんでした。
家に帰る途中で女の子が事実を親に話したらしく、お礼を言いにうちまで来ていました。

時は過ぎて、今その女の子は、僕の奥さんです。

チーズケーキ

私が財布から紙幣を出していると、表のガラスドアが開いて、五、六歳くらいの女の子が入ってきた。
顔を赤くし、必死の面持ちで、

「あのう、すいません・・・。」

と言った。
私の相手をしていた女性がはい、と言って女の子の方に向き直ると、彼女は、

「あのう、チーズケーキはひとつ何円でしょうか?」

と丁寧な口調で尋ねた。
店員は女の子の必死の気配がおかしかったのか、

「四百三十円です。」

と笑いながら応えた。
女の子は漫画のついた自分のガマ口を開け、

「二百円、三百円・・・」

と声を出してお金を勘定していたが、

「ああ、ないー。」

と悲しそうな声を出した。
そして、

「どうもありがとうございましたー。」

と泣きそうな顔で言うと、ガマ口も閉めず一礼してガラスドアの方へ向かって駆け出した。
すると彼女にとっては厄日だったか、ドアの前で人と衝突し、ガマ口からお金をばら撒いてしまった。

子供にぶつかるとはなんという不注意な人間だろうと思って衝突相手を見ると、私の友人だった。
御手洗もさすがに悪いと思ったらしく、急いで屈み込むと、

「ああ、ごめんね。」

と言いながら、女の子と一緒にお金を拾い集め出した。

「二百円、三百円、四百円・・・あれえ、ほら、四百八十円あるじゃないか、チーズケーキが買えるよ。」

と私の友人は、拾ったコインを女の子の小さな手に渡しながら言った。

「あれえ、本当だー。」

と女の子は言った。

「駄目だよ、きちんと数えないと。」

と、御手洗は笑いながら言った。
女の子は嬉しそうにコインを握りしめ、私の横に戻ってきた。

どうやら女の子はチーズケーキを買うことができるようだった。

雨の日の出来事

147: 02/15 01:16
買い物に行った店で傘立て見て今にも泣きそうになってる小学生の女の子がいた。
自分のビニール傘出すついでに

「どうしたの?」

と聞いたら

「傘持って来たのに・・・盗られたみたいです。」

とか細い声で答える。
外を見たら土砂降りだし、手には買い物袋提げてるし、あんまり気の毒になって

「ツレと車で来てるから、ここ(入り口)まできてもらえば私は傘使わなくていい。小さくて汚いけど使って。返さなくて良いから。」

という感じの事を言って差し出したら、顔いっぱいに驚きを浮かべて

「いいです、貰えないです・・・。」

と首を振る。

(最近物騒だし女でも警戒しちゃうんだろうなあ。)

と思ったらその子がすごく真面目な顔で

「だって貰っちゃったらお姉さんにお礼ができないから。」

と言う。

(何て律儀な子なんだ・・・。)

と思いつつ

「本当に安物だから良いよ、使って欲しいから。」

と渡すと

「私は**小学校5年*組の***子です。絶対絶対返します。ありがとうございます!」

って何か本当に涙が出そうになった。

重ね重ね言うが安物であげてもよかったけど、そうするとかえって女の子が気にしそうだから後日待ち合わせして返してもらった。
わざわざお母さんも一緒に来て丁寧にお礼を言ってくれ二人で作ったお菓子をくれた。

DQNスパイラルはよく聞くけど逆もあるんだね。
心が温かくなったよ。

遠足のおやつ

201: 02/19 21:35
小学校の頃、家はどうしようも無く貧乏だった。
父親を交通事故で無くし母一人子一人の母子家庭だった。

小学校の時、俺は遠足におやつを持っていく事が出来なかった。
前日のホームルームで

「バナナはおやつに入りますか?」

と戯けるクラスメートを横目に絶対いかないと心に決めていた。

放課後帰ろうとする俺を理科室に来るよう担任の先生に言われた。
理科室へ行くと先生は目に涙を浮かべながら300円を握らせてくれた。
そして続けてこういわれた。

「いいか、お前は他の子よりも先に人生の不条理や苦痛を感じられ幸せだと思え。親の代では負けたかもしれない、でも其れはお前の責任じゃない。この悔しさをバネに伸し上がってお前の代では勝て。もしお前の子供が悲しい思いをする事があったら其れはお前の責任だ。金をやるのは一回だけだ。大切に使え。」

俺はその時買ったビックリマンのチョコの味を忘れない、そしてそのシールは今でも大切に保管している。

忘れられない結婚記念日

331: 01/19 02:21
入社4年目で初めての結婚記念日の日。
社内でトラブルが発生した。
下手したら全員会社に泊まりになるかも知れないという修羅場なのに、結婚記念日なので帰らしてくださいとは絶対に言えなかった。

5時を回った頃、T課長が俺を呼びつけ、封筒を渡して、

「これをK物産に届けろ。」

と言う。
K物産は、隣の県にある得意先で、今から車で出ても8時までに着けるかどうかすら分からない。

「届けたら直帰していいから。」

と言うが、直帰も何も、K物産に届けて家まで帰ったら、きっと11時は過ぎるだろう。

文句を言いたかったが、

「わかりました。」

と言って封筒を預かった。
中身を見ようとすると

「中身は車の中で見ろ。さっさと行け!」

とつれないT課長。
不満たらたらの声で

「行ってきます。」

というと、課内の同情の目に送られて駐車場へ向かった。
車に乗り込み、封筒を開けると、一枚の紙切れが。

「結婚記念日おめでとう。今日はこのまま帰りなさい。」

と書かれていた。
会社に入って初めて泣いた。

その翌年、T課長は実家の家業を継ぐために退社した。
送別会の席でお礼を言ったら

「そんなことあったか?」

と空とぼけていた。
T課長、お元気でおられるだろうか。

おやじ

大学生の時、貧乏で貧乏で、友人たちも貧乏だった。
ある日、具の無いお好み焼きにも飽き、腹に力も入らず

「具のあるお好み焼きを食べたい!」

と、ついに畑泥棒決行。

車に乗り、近所の畑へ・・・。
キャベツ を盗む事にする。

ところが、キャベツの根(茎?)って太くて、腹に力も入らず、畑仕事経験なんか全く無い俺たちにはなかなかぬけなかった。
そこで、車の牽引フックにロープを結んで引き抜くことにする。

作戦成功。
見事にキャベツは宙をまった。

が、勢いあまって車は友人を乗せたまま反対側の畑に転落。
自力で脱出が不可能に。
警察をよぶ。
動転してたんだろうな。

警察と畑のおやじ到着。
警察官が持ち上げた 牽引ロープ の先に キャベツが・・・。
唖然とする警官とおやじ。

事情を説明し、畑も弁償したいと平謝り。

しかし、おやじは怒るどころか我々を家に招待して晩御飯をご馳走してくれたうえ、車に満載の野菜、芋、果物をただでくれた。
あまりの優しさに、帰りは友人ボコボコになった車で泣きながら帰った。

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