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嫌いだった兄の話

  • Posted by: 涙脆い管理人
  • 2012年6月25日 01:05
  • 家族

71 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/04/17(金) 14:36:28.98 ID:+xML+o0X0
今時の若者とは思えないほど真面目で頑固な兄がいた。
兄は一流大学を目指し、来る日も来る日も勉強に明け暮れていた。

小さい頃、私はお兄ちゃんっ子で、毎日馬鹿なことして遊んでいた。
一緒にお風呂も入ったり、近くの川で魚を捕まえてこっそり二人で飼ったりもした。
夜は二段ベッドに寝て、面白かったアニメや漫画の話をした。

もはやそんな昔の面影は無くなって、常に自分のことを考えトップに立とうとしていた。
誰からの力も借りず、自分だけを信じ勤勉に励んでいた。
県でもレベルの低い高校に通う私を見下すような目で見る兄。

私はそんな兄が嫌いになった。

本命校受験の一週間前から兄は部屋から出なくなり、食事も取らず一心不乱に勉強をしていた。
さすがの兄もプレッシャーを恐れていたのだろう。

私はそんな兄にあるものを買ってきた。
期間限定で発売された合格祈願のスナック菓子のカールだ。
神経が張り詰めている時、こういったユニークなもので少しでも兄の気持ちを和らげられれば、と思った。
カタブツの兄は嫌いだったが、心の奥ではまた昔の時のように仲良くしたかった。
兄は無言で受け取った。
返されると思っていた私は嬉しかった。

そして試験は無事終わり、兄は見事本命大に合格した。
家族全員でお祝い、外食に出かけた帰りの車の中で私は兄に言った。

「私のあげたカールのおかげだね。」

兄は面白くなさそうな顔で一言。

「食べないで捨てた。」

ショックと言うよりは腹が立ってしょうがなかった。
同時にもうこの兄とは昔のような仲には戻れないと思った。
プツリと兄との繋がりが切れたような気がした。

きっと大学でも馬鹿みたいに勉強漬けで、卒業後は一流会社に就職しエリートまっしぐらのつまらない人生をおくるのだろう。
ああこの兄にはピッタリだ。

それから3ヵ月後。
兄が交通事故に遭ったとの連絡が入った。
両親と病院に駆けつけた時、兄はもう息絶えていた。

ああ、なんてあっけない死を迎えたんだろう。
つまらない兄にはこんな人生がピッタリだったんだろう。
涙は出なかった。
まだ腹が立っていた。
あんな兄の為にどうして私が涙を流さなきゃならないんだ。
そんな残酷なことを平気で思える自分にも嫌気がさした。

葬式を済ませた後、母と一緒に兄のアパートに向かった。
遺品整理をするためだ。
気が進まなかったが母一人では大変なのでしょうがない。
真面目で几帳面な兄らしく、部屋は気味悪いほど綺麗に片付けられていた。

本当にゴミ一つなかった。
母が衣服を整理している間、私は兄の勉強机の中を片付けるよう言われた。

(もしかしたらお金でも入っていないかな、あったらネコババしてやろうか。)

一番上の引き出しには受験関係の書類が残されていた。

本命の合格報告書 も入っていて、顔に出さない兄もやっぱり嬉しかったんだと思った。

報告書の封筒を開けて、私は一瞬息が止まった。
丁寧に折りたたまれた菓子の袋が入っていた。
私があげた、カールの袋だった。
涙が止まらなかった。

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